ハーブヨガのクラスにおいて言霊ワークではワークシートと言われる書き込み式のプリントを使います。
生徒さんはあらかじめ設定された時間内に質問について答え、さらにその結果について自分がどう感じているのか他のメンバーとシェアをしていきます。
一般的なヨガクラスにはあり得ない要素ですね。
そこで、この理由についても順を追って説明しましょう。
まず、なぜ紙をわざわざ使って書き込んでいくのか?
これは先程も説明したように、私達の思考を見えるようにするためです。
最初のうちは「ヨガクラスなのに、自分のことを書きだして考えるのなんて嫌だ」と思う人もいるでしょうから、ここではもう一度、確認のために説明をしていきます。
痛みなどの体の反応や姿勢の歪みとは異なり、私達の頭のなかに渦巻いている言葉やイメージは見ることができません。
声に出してもすぐに掻き消えてしまいます。話し言葉は空気の振動に過ぎず、見えないものであるため、意識を払おうとしても普通の人の能力では捉えることができないのです。
例えば、あなたは最初にAというものが大事だと思っていたとします。
しかし、あなたと親しい人がBも大事だと言っていると、いつの間にか感応の法則が起きてBも大事だと思うようになっていきます。
このプロセスが繰り返された結果、あなたは自分自身が何を大事にしているのかわからなくなっていきます。
その結果、自分が本来望んでいない選択肢を選んでしまい、後悔が起こるのです。
自分が一体何に価値をおいているのかを把握するためには、まずは、自分の内側に渦巻いている言葉を書き出してみることです。
書くという行為は深い自己対話です。
また、効率的に書き出すためにも、効率的に質問をするということがとても大事です。
アインシュタイン博士は「もし、あなたが死にそうな状況になって、助かる方法を考えるのに1時間あるとしたら、どんな事をしますか?」と聞かれた時に、「最初の55分は適切な質問を探すのに費やすだろう」と仰っています。
それぐらい質の高い質問というのは大事なのです。
逆に室の低い質問をしていたら、いつまでたっても目的地には辿りつけません。
アインシュタイン博士の質問力ほどではありませんが、ハーブヨガのクラスでは私達が実際に使い、特に反響が大きかった質問やテーマについてのワークシートを活用していきます。
ハーブヨガクラスにおける言霊ワークはいわば日常生活でいかに自分自身に質問し、いかに自分の言葉に気づきを入れるかを訓練するための練習の場でもあります。
そのために制限時間内を設けて、一気に集中して書くことを行なうのです。
私達は自由な時間をただただ与えられただけでは「何をすればいいのか」と混乱してしまいます。
これは私達の日常生活そのものです。
そこで、限られた時間の中で自分自身に夢中になって考えるという訓練をすることによって、普段、掻き消えてしまいがちな自己対話力を磨いていくのです。
そのため、勿論、制限時間内に答えを全て書ききれなくても何の問題もないのです。
書くという行為は現代だからこそできる行為です。昔の時代は紙がとても高価なものでした。
そのため、自分自身を知ろうとするためにワークシートを用いることは難しかったと思います。
そのために仏僧やヨガの行者たちは瞑想をして自分自身に毎分毎秒と気づきを入れて、「いま、ここ」の自分自身を脳内に記憶する訓練をしたのだと思います。
自分自身を知るためのノートとして自分の脳を使うために瞑想の訓練をするわけです。
しかし、これは現代人の社会環境ではすぐにはできないことです。
多くの場合、気付きが流れて行くだけで自分のことを知ることはできず、癒しの瞑想に終始してしまいがちです。
現代では紙はより安価に入手可能になりましたので、ハーブヨガでは積極的に書く行為を行なっていくわけですその意味で、言霊ワークは「書く瞑想」ともいえます。
勿論、今の時代だって紙という植物性資源は貴重なものですから無駄にはできません。
1回、書きだしたワークシートは捨てずに保管しておいて下さい。
そして、時の変化に応じて自分自身がどのように変化をしていったのかを観察するための手段にします。
私達は毎日夫婦で日誌をつけていて、もう数年になります。
経年変化で自分たちのビジョンの変化を知ることはとてもエキサイティングですし、今の自分自身が嵌っている罠を見つけるのにも重宝しています。
言霊ワークは自分を知るという癒しのためだけに行なうのではなく、あなたの人生を変えるための行動力の源にするために行います。
何度も何度も繰り返して、自分自身の言葉のエネルギーを磨いていくのです。
多くの人は過去の自分と今の自分、そして、未来の自分が分断されています。
すると、分断された自我から常にクレームが来ることになります。
例えば、
「昔の私はこうなりたいって思っていたのに、どうして現状はこうなの?」
「今の私がこんな有り様なのはどういうことだ?これでは未来の私の理想像とかけ離れすぎてしまうんじゃない?」
といったものです。
こういった内なる声との葛藤というのは、確かにあなたを鍛えます。
葛藤があることによって、他者の痛みにも愛情が示せるようになります。
しかし、自我を分断されたままで放っておくことは、結局の所、あなたから行動力を奪い、人生を言い訳で覆い尽くすことになるでしょう。
1年前のあなたが何を考えていたのかについて、はっきりと頭のなかに記憶している人は多くありません。
しかし、言霊ワークのワークシートが残っていれば、一年前のあなたを今のあなたの中に取り戻すことができるのです。
タイムマシンがあるようなものです。
そのためにハーブヨガのクラスには定期的に参加して言霊ワークを行い、自分自身を確認してほしいと思います。
国際ハーブヨガ協会の公式アカウントです。宗冨美江(Fumie MUne)と宗健太郎(Kentaro Mune)による共同執筆の記事となります。
“言霊ワークの習慣その2:ハーブヨガクラスにおける言霊ワークはどうして紙を使うの?” への1件のフィードバック