「気づき」を積み上げて指導する
姿勢美法の指導には見る(見せる)・聞く(聞かせる)・触る(触らせる)・理解する・伝えるという明確なステップがあります。
これはハーブヨガのクレドにある5つのステップと同じものです。
それを着実に回していくことで生徒さんの学びを深めていくことができるのです。
人間は何かを誰かに教える場合、答えを先に言ってしまいがちです。
しかし、答えを与えることよりも、答えに至る道を用意することを姿勢美法では重視します。
人間は一人一人、異なる歪みを持っています。
この歪みはただの悪癖ではなく、才能でもあるのです。
つまり、一人一人、目的地に着くための道は異なっているのです。
この当たり前なようで、無視してしまいがちなことに最大限の関心を払うこと、それが姿勢美カウンセリングで大事にしていることです。
そして、その具体的な方法がこの5つのステップを回してくことなのです。
その結果、私たちは自分の心の動き一つ一つにしっかりと気づきを入れることができます。
そして、気づきを入れることによって、微細な変化を見逃さない技術が培われていくのです。
このように、姿勢美法の指導の特徴は私達の知覚からくる「気づき」の要素を一つ一つ丁寧に確認していくことにあります。
例えば、
・指導者は生徒さんの顔の表情からつま先まで体全身をまんべんなく観察します
・脱力の様子を指導者が自分自身の手を使って見せる
・呼吸の音を聞き、指導者が深くて長い息の音を聞かせる
・体の軸を触って確認し、触らせて確認する
といった手順です。
指導者は自分が感じたことを省略せずに、入念に辛抱強く、生徒さんに伝え、育てていきます。
自分の一挙手一投足に意識を払うという意識と体をつなぐ習慣があって始めて、ヨガの坐法の意味が生きてくるのです。
触覚を鍛える:あなたの体をハーブに変える
姿勢美法では「触る」感覚をとても大事にします。
特に大事にするのが指先の感覚です。
指先のピンポイントな接触によって、生徒の歪みや力み、あるいは力の入らなさを見抜くのです。
もちろん、むやみやたらに指先で確認するわけではありません。
指導者は指先から生徒さんの緊張を読み取り、それを自分のこととして理解し、受け止めます。
そして、指導者自身が子どもの状態に戻り、脱力することによって、生徒さん自身の緊張の解消へとつなげていくのです。
姿勢美法を行っているとき、生徒さんと指導者の間には明確なラインはなく、ただ水の中でつながっている状態なのです。
その結果、生徒さんの状態は指導者の状態へと直接跳ね返ってくるのです。
このように書くと、驚かれることも多いのですが、これが実際に起こっているプロセスが姿勢美法なのです。
それは指導者が自分自身の体をハーブに変えられるからこそできる枠組みです。
上図:姿勢美法の脱力チェック(指導者と生徒が感応することによって行われる)
エネルギーラインの軸を持つこと
脱力のワークができるようになったら、姿勢美法では丹田の位置を鍛えていきます。
そして、チャクラの位置をさらに鍛えます。
仙骨から背骨、そして頭頂に抜けるエネルギーラインを整えることで、生徒さんは自分自身の中にある熱い軸に気付くようになります。
それは単なるコンセプトではなく、筋肉と神経と骨が連動し、体が熱くなってくるという実感として得られる現象です。
特に丹田の位置を鍛えることで、女性の場合には子宮や卵巣の気血水のバランスを整えることになります。
姿勢美法やハーブヨガを実践することで、婦人科系の症状と対話し、解消される方が多いのも、この部分にあると私は感じています。
内側のエネルギーの充実が、手足などの外側に巡っていく実感を得るようになると、体から冷えている部分が少しずつ減少していきます。
姿勢美法を行うから、楽に坐れるようになる
坐るということは、ヨガのアーサナにとって目的であり、スタート地点です。
だからこそ、その状態をしっかりと快適なものにすることが指導者には求められるのです。
そして、姿勢美法を通じて体の軸を通しておくと、ヨガのアーサナの実践にも大きく貢献するのです。
それは生徒さんがきちんと座れるようになるということです。
ヨガや瞑想の指導においては持続的に坐っていられない生徒さんが多いものです。
しかし、軸のワークを通じて、体軸を内側にインプットすることで、生徒さんは坐るということの意味が分かり、より楽な状態でヨガに臨めるようになるのです。
国際ハーブヨガ協会の公式アカウントです。宗冨美江(Fumie MUne)と宗健太郎(Kentaro Mune)による共同執筆の記事となります。
“ヨガ指導者のための姿勢美法講座 第2回【指導法のステップを身に着ける】” への1件のフィードバック