今回はご質問についてのシェアをエントリさせていただきます。
テーマはずばり、大豆についてです。
質問
・イソフラボンは子宮内膜症には良くないイソフラボンがエストロゲンとして体内で働く体質の人と、そうでない人がいるとのことで、それを調べる検査もあるとのことですが。
子宮内膜症のかたのは、私も含めてたくさんいらっしゃいます。
これからクラスで体質改善するときに、 国際ハーブヨガ協会認定セラピストとしては、どのような形で指導をして行けば良いですか?
検査も出来るので、それも教えてあげたり、私個人としては考えてますが、大豆と子宮内膜症についてのご意見頂戴いたしたく、お忙しいとは存じ上げておりますが、ご返答宜しくお願いいたします。
非常に素晴らしい視点です。
食事についての原則論から解説していきましょう。
結論からいうと、豆類や豆乳の摂取におけるイソフラボンの上限についてハーブヨガの食事の習慣で指導している範囲については心配する必要はないと考えます。
詳細は以下で解説しています。
1.食事と体の関係:
まず、一番最初に示したい、ハーブヨガの食事に対する考え方は「現代の人間の理解を越えたところにある」というものです。
こちらについて、これまでの資料やテキストなどでは、科学的なデータに基づいて解説しておりました。
しかし、私たちの近年の観察と実践により、それらは必ずしも常に当てはまるものではないという考え方に至りました。
その意味では、食事についての記述は刷新していきたいと考えているところです。
私達の体は一人一人異なっていて、強度の大きい投薬(またはそれに類似する製品)のような形以外で食物を摂取した場合、その食品の体への現れ方は千差万別です。
西洋医学的な視点から言えば、近年、2014年以降特に、一人一人の腸内細菌叢(腸内フローラ)というものが注目されています。
これは、同じ食品を摂取しても、一人ひとり異なった結果を産むということを証明しているようです。
何かを食べるとそれが直接反映されるということはない、ということを食事指導の前に覚えておいて下さい。
あるいは、これを裏付けるものとして、森美智代さんの「「食べない」生き方」という書籍があります。
[amazonjs asin=”B018U0NKWQ” locale=”JP” title=”「食べない」生き方”]彼女は一日に生ジュース一杯のみしか食べていませんが、普通に活動し、顔の血色も非常に良好です。
カロリーがほぼゼロの食品を食べても栄養失調になるわけではないことが、彼女の体を通じて示されてもいます。
また、これと同じことはヨガなどの行者の例としても示されています。
森さんの例は非常に極端な例ですが、体内でどのように発現するかには個人差があります。
また、森さんのような人が世界中に存在しているということも近年、特に注目されています。
このようなレベルの話になると、大豆イソフラボンが「いい」「わるい」という次元を超えている考え方がそもそも必要になると思います。
ですから、食事の成分がこういう結果を産むというこれまでの科学のデータの扱い方自体が現在、見直されつつあるとも言い換えられます。
カルシウムが50年前はもてはやされましたが、現在、カルシウムだけを摂取するのでは骨粗しょう症にとってむしろマイナスな位だという説も注目されています。
イソフラボンに関する現在のデータもいつ覆されるか分からないというのが実情だと考えております。
2. 科学的な視点から考えると?
しかし、あくまで科学的にも検証したいと思います。
それでは、大豆をどれぐらい取れば良いのかについて科学的な知見から解説します。
まず、厚生省管轄の食品安全委員会では大豆イソフラボンの安全摂取量として、1日あたり上限摂取量は70~75mgと定めています。
これがどのような見解から来ているかというと、政府の公式文書「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の 安全性評価の基本的な考え方」の51ページ目にあります。
「海外(イタリア)において、閉経後女性を対象に大豆イソフラボン錠剤を 150 ㎎/ 日、5 年間、摂取し続けた試験において、子宮内膜増殖症の発症が摂取群で有意に高 かったことから、大豆イソフラボン 150 ㎎/日はヒトにおける健康被害の発現が懸念 される「影響量」と考えられる。
出典: http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc_isoflavone180309_4.pdf
おそらくはこれが「エストロゲンは子宮内膜症を悪化させる」の遠因になったと思われます(※注1)。
ハーブヨガで強調している豆類の食べ方は豆乳と豆料理を食べることですが、豆乳200mlに含まれるイソフラボン量は約40mgとなります
(メーカーによって異なります。詳細は: http://midnightcafe.main.jp/soymilk.php)。
これ以外に豆製品を食べると2倍程度、70~80mgになると思います。
ただし、これらの食品のイソフラボンは「グリコシド型」という消化されにくいものですので、実質的にはその半量程度、つまり、40mgになるでしょう。
また、たとえ、腸内細菌叢がイソフラボンの分解に非常に長けていたとしても、摂取できるのは70~80mgとなります。
このように「科学的な視点」から見ても、ハーブヨガで指導する範囲の大豆の摂取量はそれほど心配はいらないと思います。
ただし、そもそもの算出値のデータ元であるイタリア人女性の実験には大きな疑問があります。
それはイタリア人女性と日本人女性では食生活、特に肉類や乳製品の摂取が全く異なるという点です。
これを日本人女性にそのまま当てはめることにも疑問が残ります。
3.ハーブヨガの視点から考えると?
次に、ハーブヨガの背景となる東洋の視点から考えます。
ハーブヨガでは、観想が最も大切な方法であると考えます。
豆というのは、胎児や腎臓を想起させる食品と昔から言われております。
また、アーユルヴェーダでも、豆の持つエネルギーは丹田の位置を活性化するといわれています。
また、豆は、大地を肥やす植物として、地球自体を豊かにしてくれています。
(自然農法や自然栽培でも、土地を豊かにするために活躍しているのが豆類です。)
ハーブヨガではこれの観想や、そもそもの豆の持つエネルギーこそを私たちは魂全体で食べることに意味があると考えます。
それが潜在意識に働きかけ、自然治癒力やエロスを刺激すると考えるからです。
また、自分自身の体や、これまでの指導経験での数多くの女性たちが安全に体質改善と女性性を開花させてきたのも、豆をこれまでの習慣より多く取る習慣を作ることによるものと私自身は考えております。
また、東洋の原則論から言えば、豆乳や豆製品は陰性の食べ物ですので、運動も何もしない人が食べ続けると体を冷やす原因になると考えます。
その場合、子宮内膜症や生理痛のような体内の冷えが原因となる症状が出る可能性もあると考えます。
この冷えをできるだけ除外するために、ハーブヨガを毎日のように行い、冷えの撃退に勤めれば、ハーブヨガでは豆製品や豆乳の摂取は問題とないと考えます。
つまり、そもそも東洋においては食事法だけで完結するものはないのです。
例えば、マクロビオティックでさえも、実際には導引(気功法)を行うのが本流です。
ただし、ハーブヨガでは体と対話することはとても大事なことだと考えます。
できるだけ毎日、ハーブヨガを行い、体を冷やさないように食生活を心がけ、乳製品の摂取について意識を払い、日々のストレスの管理を行い、それでも重い生理痛が毎月あるようであれば、その時に初めて、豆乳や豆製品の習慣を見直すのも良いと思います。
もともと低体温症である場合には、そもそもの筋肉量が少ないのですから、歩くことや、体を鍛えることが求められます。
4.結論としては?
あくまでも、現在の科学で実証されていることとは別問題として、ハーブヨガの習慣に、豆類の摂取は欠かせません。
そして、私たち自身が経験的に確信していることは、恐怖心をなくし、感謝して地球を豊かにしてくれている豆科の植物を頂くことは、私たち自身の体を豊かにしてくれるものと信じています。
上記すべての解説から、科学的にも、大豆・豆乳を摂取することに大きな問題はないと考えます。
また、豆類には本当に様々な種類がありますから、いろんな種類を探してみるのも楽しいものです。
※注1:と、いいますか、この実証実験以外に科学的に証明されたものは発見できませんでした。多くがの出典もなしに「イソフラボンの摂り過ぎは危険」と言っているサイトばかりでした。
国際ハーブヨガ協会の公式アカウントです。宗冨美江(Fumie MUne)と宗健太郎(Kentaro Mune)による共同執筆の記事となります。