人間には自然治癒力というものが存在します。
それは免疫機能のように、健康な状態であれば自然に病状が回復するというものです。
自然治癒力はいろいろな場所でいわれていますので、良いイメージを持っている人も多いと思います。
この力はすべての人間が持っている素晴らしい力だと言えるでしょう。
針灸やマッサージ、或いは中医学やアーユルヴェーダではこの自然治癒力を活性化させることが特に重視されています。
体の中の気血水のバランスが改善することによって、この自然治癒力の歯車はぐるぐるっとスムーズに回っていきます。
その結果、体は穏やかに回復していくのです。
しかし、ここで注意が必要です。
自然治癒力は「その人にとっての自然な状態」に戻す、一時的な回復力でしかないということです。
あくまで、その人の欲求に沿って緩やかに回復につなげていくための力なのです。
例えば、体が歪んでいる人が「自然」にその歪みを克服できるわけではありません。
むしろ、実際には逆なのです。
自然治癒力があるからこそ、人の体は歪んでいくのです。
以下では、O脚のメカニズムを例に、この側面について考えて見ましょう。
まず、ある人が足裏の外側で歩いたり、浮き指の癖があるとしましょう。
しかし、本来、人間の体はそのような動きには対応していないわけですから、最初のうちは、その人の体には痛みが生じます。
しかし、その癖がずっと続くと、あなたの体は何とか対応しようと働き始めます。
自然に痛みを治癒しようとして、いびつな方向に筋肉を増強していくのです。
負荷を与えるから筋肉が対応し、関節が対応し、骨が対応する。
これは筋肉を発達させるプロセスと同じです。
逆に言えば、体はその場の痛みをどうにか解消するためにO脚をあなたに強制しているとも言えるでしょう。
体は『う~ん、長期的に見ると、O脚や猫背は関節を歪ませるようだ。だから、それを解消するような方向で筋肉をつけよう』という風に、都合よく動いてはくれないのです。
体は『今』の地点の事にしか対応してくれません。
良くも悪くも、『今、痛みがないか』『今、気持ちいいか』を選ぶことが我々の本能なのです。
しかし、だからこそ、私たちは今の自分の欲望だけではなく、中長期的な視野に立って体と対話をする必要があります。
そのための方法が姿勢美法であるといえるのです。
国際ハーブヨガ協会の公式アカウントです。宗冨美江(Fumie MUne)と宗健太郎(Kentaro Mune)による共同執筆の記事となります。