ではどうして、坐法ではハーブボールを使うのかについてですが、それは先ほども解説した通りハーブが私たちの先生だからです。
ハーブボールは熱と香りと独特の触感をもっています。
その全てが私たちの観想のトレーニングを助けてくれます。
ハーブボールに触れることで、「ハーブであるということは、こんな風に香りや熱を伝える存在になるということなんだな」と頭ではなく、体で実感することができるのです。
そして、これと同じことが、実は私達が他者と触れ合ったときに起きているべきことなのだと理解できるのです。
私たちは自分のことになると自己防衛の砂嵐が生じて直視することはできなくなります。
そのため、「私はどんな存在なのか」という問いについて、盲点だらけの解答しか導き出せないのです。
自分がやっていることなんて中々わかりません。
ハーブボールに触れることによって、「本当のあなたはこんなふうにして素晴らしい香りで人を和ませて、熱を通じて人を元気づけたりすることができるハーブになれるんだよ」と教えてくれるわけです。
私たちが他者に触れ合った時、他者の内面ではどんなプロセスが生じているのかを体を通じて教えてくれるのです。
もしこれがハーブボールではなくて、ハリネズミみたいに当てるとチクチクするものや、鉄アレイみたいな鍛えるだけのものを血海の位置に挟んだり、丹田の位置に当てたりするのでは我慢の感覚が生じてしまいます。
このような我慢や根性で乗り切ろうというのは、モーレツに働いていた高度成長期時代までの旧時代的な男性性が発露した時代の考え方だと思います。
しかし、今の時代は皆が皆、女性性が男女を問わず必要とされていますから、他者を温めることや癒やすことをまずは学ぶ必要があるのです。
そのためにもハーブボールを活用しているともいえます。
また、そもそも、我慢という言葉の裏に自傷行為の感覚がないかは常にチェックしなければなりません。
「幸せになるためには犠牲が必要だ」と考えてしまうことは、あなたの将来に暗い呪いをかけることになりますし、あなたの周囲の人々にもその呪いを伝えることになります。
ハーブボールがなくても坐法はできるの?
少し横道にそれましたが、ハーブボールはそれぐらい素晴らしい存在なのです。
あまりに素晴らしい先生なので、「ハーブヨガの坐法はハーブボールを使わなければ全く実践できないのでしょうか?」という質問も生まれてくるかもしれません。
答えはハーブボールを使わなくてもハーブヨガはできる、です。
具体的にどうするかというと、ハーブボールを想像したり、手を当てたりすることで癒しと熱を受け取ることができます。
勿論、ハーブボールには及びませんが、訓練することで観想が深まり、手のひらからエネルギーを受け取ることができるのです。
但し、この方法はハーブヨガを日常的に実践している中上級者向きです。
初心者の場合には少しハードルが高いように思いますが、坐法の練習のためにはよい習慣であると言えます。
では、手のひらの気を感じられるための目安はあるでしょうか?
それは少なくとも週5日1日30ふん~1時間程度のハーブヨガの坐法を180日~365日続けることが目安です。
一朝一夕にはその領域にはたどり着けないので、まずはハーブボールを使って癒しと熱の観想を貯めることを推奨します。
また、指導者としてハーブヨガのクラスを行う時にはハーブボールを使うということが前提となります。
この「ハーブボールがなくてもハーブヨガができるか」という質問は、ハーブボールが手元にない場合に、今すぐできますかと言われたらできますというだけの話です。
あるいは週1、2回はハーブボールを使って、そのほかは使わないという選択はできますという意味での答えになります。
あなたがアーサナの練習をしっかりとしたい時には、ハーブボールを蒸さずに使いましょう。
例えば、ハーブボールの中にシナモンやラベンダーをまぶした豆や玄米などのドライハーブを詰めたものを使うのも良い方法です。
あるいは鳥蝶GREENが開発している電子レンジで加温できるドライタイプのハーブボール、KIZUNAちゃんを使うこともおすすめです。
国際ハーブヨガ協会の公式アカウントです。宗冨美江(Fumie MUne)と宗健太郎(Kentaro Mune)による共同執筆の記事となります。
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