ハーブヨガセラピーはこれまでに挙げた多種多様な嵐から解放されるために存在します。

そのためにTune-in、姿勢美法、言霊ワーク、坐法、Seeding、三大欲求との対話、他者との対話、世界との対話という習慣があります。

Tune-inの習慣

この内、まずはTune-inについて解説します。

Tune-inとは一言で言うと、自然と一体化して意志が通じ合うという習慣です。

自分を含む森羅万象と対話することから始まります。

Tune-inというのはハーブヨガのメソッドの中で最も基本的で根幹となる方法論となりますので、これだけは実践できるようにしましょう。

Tune-inを別の言葉で表現すると、子どもの心で世界と対話する習慣とも言えます。

子供になるということはこだわりから離れるということです。

つまり、先ほどまで解説していた親や周囲の人間やあるいは多種多様なメディア、社会や歴史が押し付けてくる価値観や感情や感覚から一旦離れようとする姿勢なのです。

あなたはもしかすると、これまでの人生の中で自由に生きてきたと自負しているかもしれません。

しかし、あなたを取り巻く95%の部分を全部吟味してみたら、誰かの意図に沿って生きているかもしれないのです。

あなたに影響を与えているのは、あなたの内側にいる親だけではありません。

社会全体からの圧迫や日常的に目にするネガティブなニュースかもしれません。

私達は目の前が見えないほど、がんじがらめです。

これをブッダは無明と言いました。

しかし、そこから自由になれる方法がTune-inを行なって、子どもの心になることだとハーブヨガでは考えます。

2~3歳ぐらいまでの子どもというのは一切空気を読まずに泣いたり、わめいたり、おもらししたりします。

自分の感覚と感情に正直です。

誰かの顔色を伺わずに、自分の機嫌だけに関心を払っています。

ハーブヨガのTune-inを通じて、この3歳児ぐらいまでの「わーっ」と叫ぶような自分の叫びに出会うということが、結局の所、世界が平和になるために必要な習慣なのです。

どうして、Tune-inを通じて子供になる習慣を持つと平和に近づくのでしょうか?

まず、普段の私達は砂嵐の中にいますから、何が好きで、何が嫌いで、何を目指していて、何を目指していないかわからない状態にいます。

そんな状態では目隠しをして歩いているようなものですから、右に行っても誰かにぶつかり、左に行っても誰かにぶつかってしまいます。

こんなことをしているとあちこちで衝突の火花が散りはじめ、戦争状態に突入してしまうのです。

だからこそ、自分が目隠しをしていることに気づき、目隠しを外す必要があります。

それがTune-inの習慣なのです。

Tune-inとは遊びのプロセス

ハーブヨガクラスのTune-inでは「どうして、絵を描くんだろう?」「どうして、ハーブの香りをかぐんだろう?」という疑問が湧いてくると思います。

この理由について今から30秒考えてみてください。

ハーブの絵を描いたり、香りを感じたりするプロセスは私たちの五感を鍛えるために行なっています。

でも、これは鉄アレイを持って筋肉を鍛えるような、そういうトレーニングじゃありません。

むしろ、あなたがいつの間にか持ち上げていた重い鉄アレイを手放すことがTune-inなのです。

第二章でも説明しましたが、私たちは無意識に何らかのこだわりを形成しながら生きています。

その状況が鉄アレイのように重たくて自分を縛るものになっているのにもかかわらず、普通の人は相当大きなショックがなければ気づくことはできません。

そうなると、場合によっては体への支障が出てきて、首が回らないとか、肩が異常に痛いとかそんな事態を引き起こします。

この時にいくら肩を揉んでも、点穴をしても、湿布を貼っても焼け石に水です。

 

一番大事なのは、あなたが持っている鉄アレイを外してあげることなのです。

そのためにハーブヨガでは自然と向き合うTune-inを通じて、子供の心に戻る練習をしていくのです。

「子供の心に戻る」と聞くと、なんだかスピリチュアルな感じがしますよね。

あなたはとっても難しいことのように思うかもしれません。

しかし、断言してもいいですがTune-inは全ての人ができます。

なぜかというと、子供に戻るための遊びのプロセスを行えばいいからです。

これがもし、100キロぐらいの重い鉄アレイを持ちあげる修行をしましょうというようなトレーニングだったとすると、全ての人が実践できることはないでしょう。

しかし、誰でも子供の心を持っているので、その時代に行っていたプロセス、つまり、遊びに臨むだけでTune-inは可能になるのです。

昔、映画でお爺さんから若返っていき、しまいには赤ちゃんになるという「ベンジャミン・バトンの数奇な人生」というものがありました。

そんなことは現実には起こりません。

誰でも赤ちゃんから大人になっていきます。

その意味で、子供の心というのは私達が必ず通ってきた道なのです。

だからこそ、つねに立ち返ることができるのです。

 

五感を通じて自然と対話するのはなぜ?

そして、どうして五感で自然を感じていくのかというと、五感を研ぎ澄ませることこそが子供に戻る第一歩だからです。

ご存知の通り、子供というのは非常に鋭い五感を持っています。

例えば、赤ちゃんの離乳食なんかは薄味です。

それは感覚が敏感すぎて、味が濃すぎるものを食べることができないからです

あるいは、赤ちゃんは非常にぬるい温度のお風呂にしか入れません。

これも肌の感覚が鋭敏だからです。

しかし、大人になるにつれて、その五感はだんだん麻痺していきます。

これを感覚の老化といいます。

例えば、高齢化すると舌の味覚の数は減り、濃い味をし好しますし、高齢化すると皮膚の感覚が鈍化し、高い温度のお風呂を好むようになるのです。

この感覚の老化現象は社会に出始めるころから起き始めます。

今の日本ですと早い人では20歳代半ばには感覚が老化していくのです。

これは先天的なものによって勝手に起こったというのではありません。

驚くべきことに、多くの人が自ら選んで感覚を老化させているのです。

これはどうしてかというと、現代人の殆どにとって、自分の感覚を麻痺させることこそが、社会に適応することだからです。

感覚をマヒさせることができなければ生きていけないような社会が出来上がっているということです。

つまり、感覚を麻痺させることで自分を守ることができるようになるというわけなんですね。

しかし、ある程度まで人生が進むと、人は自分は何故この世界に生まれてきたのかを考え始めるように人間の精神は設計されています。

これを西洋占星術ではサターンリターンと呼び、土星が自分の生まれた時にあった位置に戻ることによっておこると言います。

その転機は28歳前後におきます。

親や身近な人の死や疾病、或いは離別や社会的な失敗、あるいは独立や起業等を通じて、自分の人生について考え始めるのです。

その時に多くの人々が感じるのは、自分がなにを感じているのか分からない、という感覚の老化への空虚感です。

これは自分が身を守るために身につけてきた鎧によって身動きが取れなくなっている状態なのです。

シャツを何枚も重ね着して、着膨れして、手首足首が動かなくなっている状態です。

Tシャツを重ね着すると身動きがとれなくなるのは笑い話ではなくて、ともすれば圧迫によって死んでしまうことすらあります。

でも、そういう状態になっているのが現代の大人なのです。

だからこそ、Tune-inを行って鈍り切った感覚を取り戻す必要があるのです。

指導者が「馬鹿」になることの大切さ

Tune-inを行なうことは、

  • 「大人はこうじゃなきゃいけない」
  • 「子供はこうじゃなきゃいけない」
  • 「父親はこうじゃなくちゃいけない」
  • 「母親はこうじゃなくちゃいけない」
  • 「男はこうじゃなきゃいけない」
  • 「女はこうじゃなきゃいけない」

といったような、拘りでガチガチになっている自分自身に対して、子どもに戻っていいんだよと許しを与えることでもあります。

この状態を私達は「馬鹿になる」と呼びます。

意識的に自分の常識を捨てた状態=馬鹿になるのがTune-inでもあるのです。

ハーブヨガのクラスでは絵を描くTune-inや自分自身の言葉を探すワークである言霊ワークを行なって何も浮かばない、絵も描けないという人も現れます。

頻繁に現れることもあります。

しかし、諦めてはいけません。

 

何回か繰り返すうちにだんだんと描けるようになりますし、最終的には素直な絵と文字で自分自身を表現できるようになります。

先入観という鎧の質や量は人によって千差万別です。

しかし、個人差はありますが、とにかく観察して描き、シェアの場に臨むことで溶けていきます。

或いは、香りを感じて、自分の内側に浮かんでくるイメージに身を委ねるのです。

その結果、鎧は少しずつ溶け、剥がれていくのです。

もし、あなたがハーブヨガの指導者であるなら、あなたが率先してTune-inを行いましょう。

例えば、あなたが幼稚園児になったつもりで夢中になって描いていたら、生徒さんはどう思うでしょうか?

「あ~、ここなら良い格好をしなくても良いんだ。馬鹿になっていいんだ。子どもに戻っていいんだ」と感じる空気感を出せるようになるのです。

その結果、生徒さんも鎧を少しずつ外していきます。

 

もし、あなたのもとに絵を描けない生徒さんや言葉で自分を表現できない生徒さんばかりが現れるときには、あなた自身の肩に力が入り、何らかの鎧をつけているのかもしれません。

類は友を呼ぶという現象ですね。

この場合、「あなた、ちゃんと上手に描いているの?」というようなちょっと高圧的な空気感を出しているかもしれません。

そんな時には「私は一体、何にこだわっているのだろうか」と自分自身をチェックしてみましょう。

そして、自分自身のためにTune-inのワークを実践するようにして下さい。

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