このように生徒さんの相談について即答せず、回答を与えずに、ワークシートや書籍を与えて生徒さん自身に考えてもらうというのが私達のスタンスです。
この考え方を応用して「好転反応」というものについて、指導者がどのように対処すればいいかを考えていきましょう。
好転反応というのは東洋の考え方です。
これは何らかのメソッドを行なって気血水の流れが回ると、一旦、不快に思えるような症状が出るというものです。
この作用はエネルギーバランスの調整のために発生し、実際に感知できるるものが多いと感じています。
伝統的な自然療法やハーブヨガでは起こりうるものですし、沢山の体験者が経験している現象です。
しかし、気血水の変化の現れ方は誰もわかりませんから、全ての人が心身の不調としてそれが出現するわけではありません。
人によっては人間関係のトラブルの形で現れることもあります。
例えば、生徒さんがハーブヨガを実践することで便秘になったとして、「この便秘は好転反応だから、しばらく待っていて下さい」といったように私たちが勝手に診断することはできないのです。
好転反応は起こり得ます。
しかし、私達自身にそれを診断したり、分析したり、評価したりする必要は一切ないのです。
それは言霊ワークやTune-inのシェアと全く同じです。
これは苦しんでいる生徒さんを野放しすることになるのでは?と心配になる人もいるかもしれません。
しかし、以下の例を考えてみましょう。
Tune-inのシェアの際に私達は生徒さんの話している内容についてコメントを一切しませんよね。
例えば、「あぁ、それは素晴らしい発見ですね」とか「もっと深く感情移入して考えてみましょう」とか、そんなアドバイスをすることはありません。
ただ淡々とシェアをします。
ここで、Tune-inでりんごを観察していった時に、生徒さんから
「りんごの芯のところにスーって滑っていくのが、なんかこう幼稚園のすべり台を思い出したんです」
「りんごという宇宙の中の大きなすべり台の中で私自身が滑っているような気持ちがしたんです」
というシェアがあったとしますよね。
この時に、生徒さんから、「これは私の前世の体験から来ているのでしょうか?」であるとか、「これは私の幼稚園の時のすべり台なんでしょうかね?それとも未来のすべり台でしょうかね?」とか、聞かれたとしても答えようがないじゃないですか。
私たちにわかるはずはありませんし、よしんば「わかる」ことに何の意味があるのでしょうか?
体の症状についての質問であってもこれと同じなのです。
私たちにはその原因は分からないのです。
私達の潜在意識にはそれこそ私達の先祖の記憶すらも眠っていると言われています。
その記憶がどのように再生されるのかは誰にも分からないからです。
こんな時に一番大事なポイントというのは、あなたがどんなストーリーを生きたいのか?ということです。
生徒さんがどんな状況であれ、私達、指導者が堅持すべきストーリーとは、
私達は自分の体に愛情をかけることで、自分に備わった自然の力が発動し、健康で美しくいられる
というものです。あなたがこの物語を確信し、それを確認するために生きることによって、あなたの観想は他者に感応していきます。
その結果、生徒さんは自分の人生に恋をする(関心を払う)ことを始めることができるようになるのです。
結論としては、生徒さんに対して、「好転反応ですね」というような言い方はしないようにしましょう。
そして、「好転反応ですか?」と質問されても即答はせずに、一緒に今に至るまでの生活習慣の変化を探っていきましょう。
その意味で、先ほどの質問への対処と変わりません。
補足として、好転反応の診断を下す治療家の先生もたくさんいらっしゃることも知っています。
なぜかというと、東洋医学においては好転反応というのはとても重要かつ基本の考え方だからです。
しかし、現在の法制度では西洋医学がメインですから、東洋医学における好転反応というのはグレーゾーンに位置しています。
また、物品を販売する際に好転反応を喧伝することは完全に違法になります。
その意味で、グレーゾーンにある好転反応という考え方をみなさんのサービスの中で運用するのはとてもリスキーだと思います。
例えば、頭痛がするという生徒さんに「好転反応だと思うから我慢しましょう」の一言で対処してしまうと、実際には脳梗塞などの疾病が原因だった際に訴訟沙汰になってしまいます。
ただし、好転反応という体のエネルギーのとらえ方、考え方があることは知っておくべきです。
亜流ではなく、本流の自然療法をすると、必ず好転反応が起こることは何千何万人の伝統の上に立った経験知だからです。
そのため、書籍などから除外することはありません。
国際ハーブヨガ協会の公式アカウントです。宗冨美江(Fumie MUne)と宗健太郎(Kentaro Mune)による共同執筆の記事となります。
“いわゆる「好転反応」をどのように扱うべきなのか?” への1件のフィードバック