ヨガ指導者やセラピストにこそ自然の観察が必須である理由
人間の情報は大半が視覚から得られるといわれています。
だからこそ、観察力は指導力の要であるともいえるのです。
しかし、私たちは常に思い込みをもって世界に臨んでいるため、生徒さん・クライアントさんのあるがままを見ることがとても難しいのです。
ともすれば、自分自身の過去に照らし合わせたり、一般的な社会常識を持ち出してみたりなど、生徒さん・クライアントさんを色眼鏡で見てしまいます。
それでは、そもそものメソッド自体も揺らいでしまいますし、生徒さん・クライアントさんに真摯な姿勢で向き合っているとは言えないのです。
「それでは生徒さん・クライアントさんをしっかり観察すればいいじゃないか」と思えはすれど、人間というものはとても強い存在感を持っていますので、なかなか自分自身の感情を動かさずに冷静に観察することは至難のわざなのです。
では、どうすればいいのか?
その答えは、私たちが子供のころに行っていた、自然の観察にありました。
自然に向き合って観察しているとき、私たちは自然から評価されたり、褒められたりしたいとは考えていません。
ただただ、その面白さに夢中になっているだけです。
だからこそ、大人はなかなか気づかないような微妙な変化や面白さを発見することができるのです。
この「夢中」の姿勢こそが、本当は生徒さん・クライアントさんにも発揮されるべき観察力であるともいえるのです。
だからこそ、ハーブヨガ・ハーブボールSPAセラピーではTune-inの姿勢はすべてのセラピストにおいてマストの能力であると伝えています。
そして、私たちは自然の美しさこそに気づくことは、セラピストに大きな示唆を与えます。
なぜかというと、自然の持つ美しさには無理がないからです。
そして、自然に生まれたものは、燃え上がるように育ち、勢力を伸ばしたら、やがては朽ちていき、新しいものが生み出されていきます。
例えば、もみじの新緑が芽生え、きれいな紅葉を見せ、冬の寒々しい空に枝を伸ばしている様子を想像しましょう。
三者三様に美しさをたたえています。
発生・発達・破壊の三つの過程すべてで、美というのものは生まれるからです。
上図:サンドロ・ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』 1486年頃
自然の観察法・対話法としてのTune-inのステップ
自然と対話するにあたって、あなたは全てを把握してやろうなんて思う必要はありません。
あなた自身が「自然」の一部であることを思い出して、肩ひじを張らず、遊ぶように対象に向かいましょう。
書く前に最初にごく簡単な瞑想を行います。
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次に対象の全体をよく観てください。どんな様子ですか?
言葉が内側から湧き上がってくるのを感じてください。
そして、表してください。強そう?弱そう?硬そう?尖っている?丸い?悲しい?楽しそう?神々しい?雄大?女性らしい?
色んな言葉が頭の中を横切るはずです。絵を描く前にそれらをメモするのもいいでしょう。
五感を言葉で表現できるようになることはとても重要です。
(ここから先は対象を必要に応じて、触ってください。最初に出た言葉とどのように違うのかも考えましょう。)
描くTune-inのステップ
- 対象の軸を描いてください。外側のラインではなく、内側のラインを描いてください。曲がっていますか?直線ですか?折れていますか?曲線ですか?
- 対象の周りに肉をつけてください。
- 対象の中心点を探してください。バランスを保っている場所はどこにありますか?
- 対象の美しいポイントはどこでしょうか?その理由は?
- 対象のいびつさはどこにあるでしょうか?その味わいは?
- 対照を見て思い出す人物はいるでしょうか?
- 絵の周りに文字で感じたこと、思い出したことを自由に描き出していきましょう。
Tune-inを鍛える練習問題
01:木を観察し、スケッチを作成しましょう。根っこはどのようになっているかも同様に想像してください。余白に特徴を書き入れてください。
02:野菜を観察して、スケッチを作成しましょう。余白に特徴を書き入れてください。
03:フルーツを観察し、スケッチを作成しましょう。余白に特徴を書き入れてください。
04:街へ出て、男性を観察して、そのイラストを描いてください。その人の視線、姿勢なども再現してください。余白に特徴を書き入れてください。
05:街へ出て、女性を観察して、そのイラストを描いてください。その人の視線、姿勢なども再現してください。余白に特徴を書き入れてください。
国際ハーブヨガ協会の公式アカウントです。宗冨美江(Fumie MUne)と宗健太郎(Kentaro Mune)による共同執筆の記事となります。