Tune-inを通じて、自然を観察することで得られること
上図:鳥の羽への描くTune-in
1.聖なる子供の獲得
身の回りの自然を観察する姿勢が鍛えられてくると、どんなものでもあなたに気付きをもたらしてくれるものだと理解できるようになります。
それまでは何気なく通り過ぎていた何気ない草花であっても、自分に美しさを伝えてくれるかけがえの無い存在になるのです。
このプロセスは無垢な感情で自分がこの世界にいることを祝福できた子供時代に戻り、その体験を再獲得していることを意味します。
過去の記憶を「探す」必要性は無く、「今、ここ」にいるあなた自身の「聖なる子供」に気付き、それを他者とシェアすることによって、その子どもと遊ぶことができるのです。
2.『過去』や『負の感情』の清算
Tune inの作業は基本的に癒しのステップではあると言えます。
そのため、悲しい記憶やコンプレックス、過去の怒りや罪悪感といった一見「ネガティブ」なものすら浮き出てくる事があります。
人によってはそれに戸惑い、筆が止まってしまうことすらあるでしょう。
しかし、これらの感情は必然性があってあなたに表れたものであり、いわばあなたという人間を育てるための『肥やし』として、向き合う準備が出来たことを教えてくれているのです。
具体的には、その感情を言葉にして書き出して、その絵の中の自然のイメージのどの部分に対応するのか考えましょう。
ネガティブに思えるものであっても、全体の中で役割を与えてしまうと、その部分があって初めて目の前の美しい自然があることに気づく事が出来るのです。
自然の中に無駄なものは無く、あなたの過去にも未来にも、そして現在にも無駄なものはありません。
Tune inの作業を通じて、癒しと活性化の階段を一気に上り始めるのです。
(補足)脳科学では『過去の記憶』として私たちが認識しているものは、その都度、脳内で脳の回路がつながって再演されているものに過ぎないと考えます。
つまり、過去の記憶とは、過去の事実ではなく、『現在、自分がそれをどう感じているか』にしか過ぎず、現在のあなたの認識の仕方でしかないのです。
つまり、『過去』は変えられるとも言えるのです。
3.美意識を鍛える
クラスの回数を重ねると、生徒は自然と向き合うことで、『自然を描きたくて仕方が無い』感情に気付くことになります。
彼ら・彼女らは何気ないものの中に素直に美しさを見出し、感動できる姿勢を身につけることができます。
我々は美しいものを見ると本能的に近寄ったり、触ったり、声を上げて褒め称えたりしたくなりますよね。
特に子供は居ても立ってもいられなくなるほど、美しいものや面白いものに強いエネルギーを見出します。
この姿勢こそが即ち、美に向かう心=美意識であるといえるのです。
この美意識を鍛えていくことで人は大きく変化していくのです。
美意識とは「消費」によって生まれるものではなく、日常の中で習慣として鍛えていくものであるといえるのです。
4.心身の変化や偏りを知る
また、Tune inして得られたスケッチを数回分集めて観察すると、自分の視点の変遷や偏りというものを自覚できるようになります。
例えば、考え方に一貫性の無い人が描く絵は軸が無い事が多く、表現する事が苦手な人は葉や花を描く事が上手くなかったりするなどの感想をいただきます。
或いは、ストレス過多な時に描く絵は刺々しく、生まれる言葉も焦りや疲れ、そして労いの言葉だったりします。
勿論、これはその個人の中の相対的なものでしかありませんが、絵は観察する主体である目と脳で描く以上、一定の傾向が見出せるのです。
自分のことを知るというのはとても難しいことですが、Tune-inを行うことで自分自身の今ここの状態を知ることができるのです。
そして、知ること=関心を持つことからしか、人間は自分の人生を良くしようという発想にはなれないのです。
5. 微細なエネルギーを感じ取る
Tune-inで観察するものは自然物です。
自然の言葉は生命エネルギーという意味において、万国共通です。
日本で拾った貝殻も、タイで拾った貝殻もすべて、エネルギーという言語で私たちに働きかけてくれるのです。
Tune-inでは心と体を整えた状態で対象物と対話することによって、繊細なエネルギーと対話する力を身につける事ができるようになります。
これは自然と真の意味で一体化することともいえるのです。
頭で考えて自然と一体化しようとしているうちは、まだまだ自分と他者を分けている証拠です。
ただただ自然物と一緒に夢中になって遊んでいる姿、これこそが忘我であり、対象物に溶け込んでいる状態です。
ヨガにおいて最も重要な経典である、ヨガスートラでは一番最初に「ヨガとは見るものと、見られるものの一体化を促す方法である」という有名な言葉から始まります。
ハーブヨガは自然と遊ぶことによって、実際にはこのヨガの本質を目指すものであるともいえるのです。
人間以外の生き物やモノと対話する姿勢を身につけましょう。
それによって、本当の意味で自然と調和する人間を育てる事ができるようになります。
自然の気持ちを日常的に感じ取る姿勢が無ければ環境保全も、机上の空論になってしまうのですから。
[amazonjs asin=”4839700451″ locale=”JP” title=”インテグラル・ヨーガ (パタンジャリのヨーガ・スートラ)”]6.言霊の力を鍛える
人間というのは言葉を使って世界を認識し、発展してきたと言えます。
そして、言葉の力を鍛えるには、観察と表現を鍛えることが早道です。
自然と対話し、他者とその感覚をシェアすることを日常的に行うと、どうしても自分の言葉だけでは言い尽くせない違和感が生じることがあります。
そのことこそがその人を動かし、加速度的に自然の観察眼を鍛えることになるのです。
そして、自分がシェアをするからこそ、他者がどう表現しているかに敏感になっていきます。
例えばアートの企画展に行ってみようか、行かなければ、という思いを強くしてくれるのです。
これまでただただ、消費する人間でしかなかった人であっても、この姿勢によって一介のアーティストとして世界と対峙することになります。
そして、あなたがアーティストの姿勢を身に着けることによって、毎日が発見と喜びの連続になることを発見するでしょう。
国際ハーブヨガ協会の公式アカウントです。宗冨美江(Fumie MUne)と宗健太郎(Kentaro Mune)による共同執筆の記事となります。