最初に:注意事項
こちらのページでは家庭で行なうための自然療法を紹介します。「効果」[効能」という記述もありますが、あくまでハーブヨガの見地に立った場合の考えかたであり、医学的に証明されたものではありません。ご了承の上、ご自身の裁量の範囲内でお試し下さい。
行う前の注意事項
①手当ての前後には必ずトイレに行きましょう。
②食後の満腹時ではなく、空腹時に行いましょう。
③入浴する場合は手当ての前に入りましょう。その間、血行が落ち着くまで30分から1時間はあけてから手当てをすること。手当ての後は入浴しないようにしましょう。
肝・腎・脾について:
肝・腎・脾とはそれぞれ肝臓、腎臓、脾臓を指しています。
ご存知の通り、これらの器官は非常に重要な役割をしており、鳥蝶の自然療法ではまずこれらの部位に手当てをすることを基本にしています。
肝臓:
肝臓は右の乳下にある大きな臓器です。肝臓の働きは様々にありますが、まずは腎臓と同時に体の浄化槽としての役割があります。毒素や老廃物を排出するために働いています。
食事によってもたらされたアルコールや肉類、そして砂糖などの毒素を摂取しすぎると、肝臓の機能を弱める事になるでしょう。また、精神的にストレスが多い環境にさらされていても同様に肝機能は低下していきます。
肝臓は心の臓器と呼ばれ、精神衛生が肝臓の機能に反映されたりもします。肝臓の機能が低下すると短気で怒りっぽくなるとも言われています。
肝臓の動きをスムーズにするには温める事が肝要です。
腎臓:
腎臓は血液の浄化を促します。特に体の老廃物を尿として対外に排出するときに大きな役割を演じています。
一般にたんぱく質を摂取しすぎると腎臓の負担が増すと言われています。
この部位が弱ると、生殖系にも影響が出始めます。
女性の場合は生理痛や生理不順にも適応します。
腎臓の動きをスムーズにするには温める事が肝要です。
また、足が冷えると腎臓の機能が低下するとも言われますので、腎臓を強化したい人は足の運動を欠かさずに行うことが重要です。
脾臓:
鳥蝶では脾臓の役割をリンパ腺と関連付けて考えます。
内臓の疲れや炎症があると、それをカバーするために脾臓がはれることがあるからです。
また、脾臓が悪くなると肝機能も低下し、脂肪の代謝量が減ってしまう事もあるようです。
脾臓の場合は肝臓や腎臓の場合とは違って、冷やす事で活動をスムーズにする事ができます。
実践的な手当て法:
肝・腎・脾の手当ての基本は、肝臓と腎臓は温めて、脾臓は冷やす事です。非常にシンプルなのですが大きな効果をもたらすでしょう。
しょうが湿布とこんにゃく湿布の方法をご紹介しますが、そのどちらも湿布の当て方は同じです。
①肝臓へのあて方:
肝臓の位置は右の乳下ですので、右側の胸の下を30分程度温めます。
病人や子供の場合は10分程度で十分です。
30分温めた後は冷たい水で絞ったタオルで一分ほど冷やします(冷たいのが苦手な場合はサッと拭くだけでもいいです)。
※生姜シップの場合、途中で ぬるくなってきますので、適時、シップを温めなおします。
②腎臓:
腎臓に効果を与えやすいのは背後からの温湿布です。
下背部(背骨の付け根)と腹部に前後から温湿布を施します。時間は30分程度温です。この場合も、病人や子供の場合は10分程度で十分です。
30分温めた後は、冷たい水で絞ったタオルで最長一分ほど冷やします(冷たいのが苦手な場合はサッと拭くだけでもいいです)。
乳幼児の場合は足の裏を温める事で、腎臓を温めるのと同じ効果を持ちます。
※生姜シップの場合、途中で ぬるくなってきますので、適時、シップを温めなおします。
③脾臓:
脾臓に関しては経絡に注目した方法で冷湿布をします。
左の脇腹には秘蔵の経絡が通っていますので、左のわき腹を真横から冷やします。
(※経絡とは東洋思想における「気」の通り道と考えられている経路の事です)
氷水や冷水で絞ったタオルを10分間あてます。この時、腎臓や肝臓を冷やさないように注意しましょう。
※腎臓と肝臓を冷やす場合は、無理をしないこと。
生姜湿布について
世界中、どこでも使われている生姜ですが、これを手当てに用いる事で驚くほど効果が得られると考えられています。
自然療法における働き:
痛みを伴う病気や疲労などのとき、生姜湿布は痛みをとり、毒素や疲労の元をとる有効な手段になると考えられます。
東城百合子先生の「自然療法」によれば、内臓の痛みや炎症、ガン、婦人病、肺炎、尿道炎などや神経痛、リウマチ、打撲、ねんざ、肩こりなど殆どの病気に適用できるとされています。
しょうが湿布を行うとわかりますが、体の芯まで温められ、それまで動かずに冷えていた部位も活力を取り戻します。
手当て終了後にトイレに行く事で老廃物や毒素の排出を促す事も重要です。
手順:
準備するもの:ひねしょうが(少し古くなって水分が飛んだしょうがのこと。なければ普通のものでOK)150g、おろし器、水(3リットル程度)、木綿袋、集めのタオル4枚程度、金属製のたらい(鍋でも代用可能です)
生姜湯の作りかた:
①しょうがを皮ごと摩り下ろし、布袋に入れます。しょうがは香りの強いものの方が効果が高いです。摩り下ろす作業はフードプロセッサーで行っても良いです。
②湯を沸かして70度くらいになったら、おろししょうがの入った木綿袋をを入れて汁を出します。(※この場合、水からしょうがを煮たり、ショウガを入れて熱湯を注いだりしない事。水温が高くなりすぎると効果を失ってしまいます)
お湯は70度から冷めないように軽く温めておきます。ただし、沸騰させてしまうと酵素が死んでしまうので注意が必要です。
しょうが湿布の作りかた・手当ての仕方:
③厚手のタオルをしょうが湯にひたし、固く絞って湿布をつくります。湿布の上から乾いたタオルでカバーすれば熱が逃げにくいです。
当てる位置は肝臓であればお腹と右わき腹の上に置き、腎臓であれば下背部(腰骨の3cmほど上)に湿布を当てます。時間は共に30分でよいでしょう。
④湿布の熱が冷めた場合は取り替えて、新しいしょうが湿布を手順に従ってつくります。熱さを調整して気持ちがいいぐらいの温度にしましょう。
※寒い気候の場合、外気に肌をさらすと体を冷やしてしまいますので、タオルケットや毛布をかけて寒くならないようにしましょう。
⑤交換は7~8回を目安にして下さい。ただし、病人や高齢者、子供の場合は疲れてしまいますので、様子を見ながら時間を短くしても結構です。子供は10分を目安にしましょう。
⑥仕上げに冷たいタオルでサッと拭いて、細胞を締めて決行を持続させます。(※病人などで極端に冷たいのが苦手な場合は無理をしないこと。)
最後に残った生姜湯で足湯をしても体の血行を促進します。
注意事項:
①空腹時には行わないこと
②湿布の前後にはお風呂に入らないこと
③翌日に行う場合でも、新しい生姜湯をつくること
④湿布は熱いので火傷には十分に気をつけること
こんにゃくの温湿布:
アジアの伝統的な食材であるこんにゃくですが、その性質を利用すれば手当てにも抜群の威力を発揮すると考えられています。
効果:
東城百合子先生の自然療法によれば、こんにゃく湿布の効果は胃腸病、熱、慢性病、ガン、高血圧、腎臓。肝臓、糖尿、その他、疲労に良いとされています。体内の毒素を取り除き、新陳代謝を助けます。
忙しくて疲れが取れないなどという方にもうってつけの方法です。
手順:
①こんにゃく二丁を10分ほど煮て、これをタオル二、三枚に包ます。
※こんにゃくは熱いですので火傷に注意して下さい。また、湿布の熱さは場合に応じて加減して下さい。
②お腹と右わき腹(肝臓)の上に置きます。
③30分間温めておいてから冷たいタオルで拭く。
④まだこんにゃくが温かければ、下背部(腰骨の3cmほど上)に湿布を当て、30分間ほど腎臓を癒します。
⑤冷たいタオルでふき取って静かに休みます。
※終わったこんにゃくは水の入った容器に入れて、小さくなるまで何度でも使えます(ただし、腐敗には十分ご注意ください)。
注意事項:
①空腹時には行わないこと
②湿布の前後にはお風呂に入らないこと
③湿布は熱いので火傷には十分に気をつけること
国際ハーブヨガ協会の公式アカウントです。宗冨美江(Fumie MUne)と宗健太郎(Kentaro Mune)による共同執筆の記事となります。