では、最後に本章をまとめていきたいと思います。

ハーブヨガセラピストのエキスパタイズとは何か?

それは、診断を下すことでも、原因を言い当てることでも、生徒さんの行動を評価をすることでもありません。

じゃあ、何かというと、「あなたはあなた自身の力で幸せに、そして健康になれる、そういう物語の主人公なんだよ」という物語を示し、一緒にそのストーリーを歩むことです。

その意味ではストーリーの在り方を伝える表現者としての役割がとても大きいのです。

ハーブヨガを学んで西洋医学のお医者さんのように診断を下したいとか、原因をずばりと言い当てたいとか、そのように思ってしまう人はハーブヨガ指導には向いていません。

もちろん、人間の心と体について知ろうとすることはとても大事です。

私たちもありとあらゆる現象の原因を知ろうと、日夜、探求に探求を重ねています。

「どうしてだろう?」「なぜだろう?」という好奇心ほど、人間を進化させるものはないと確信しているからです。

 

しかし、それを生徒さんやクライアントさんに伝えて、自分を高く見られたい、尊敬されたい、自己表現がしたいというのは見当はずれなことなのです。

「答」を受けとってしまうと、生徒さんの人生の質は向上することはありません。

むしろ、依存を生んでしまい、恐怖や怒りの遠因を作ってしまうのです。

 

ですから生徒さんやクライアントさんを指導者の自己顕示の手段にしてはいけないのです。

ハーブヨガセラピストだけが主役ではなく、生徒さんが自分の人生の主役として生きることを応援することが私たちの仕事です。

だからこそ、私達がすることは、心と体と関係性に愛情を払う習慣を伝えることにあります。

指導者の皆さんが知識や技術を修め、エキスパートとしての評価を協会から得ることは素晴らしいことです。

しかし、それだけではまだまだ最低条件を満たしたに過ぎないです。

セラピストの通信簿は生徒さんからの感想シートそのものです。

私たちの仕事は、その中にすべてが現れます。

あなたの生徒さんは感想シートにどんなことを書いて下さっているでしょうか?

注意深く観察しましょう。

感想シートの背景にある感情はどんなものでしょうか?

生徒さんに憑依したつもりで考えてみるのです。

 

 

 

生徒さん自身が自分の心と体と関係性に愛情を払えるようになると何が起こるでしょうか?

それは、生徒さんが家庭の中でのエキスパートへと進化することを意味するのです。

その時、生徒さんは家族の中での自分の役割を理解することになるでしょうし、本当の意味で自立できるようになります。

このように、みなさんの生徒さんがエキスパートになることを応援することによって、あなたの指導は初めて一つの円となって完結します。

日本中、世界中の人、ひとりひとりが自分のエキスパートになるために私達は働くのです。

一人一人が自分自身の一挙手一投足に愛情をかけるということを応援する。

それができる人がこれからの時代のハーブなのです。

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