私達は体質改善を応援する立場です。
しかし、お医者さまの代わりではありません。
少なくとも、現時点におけるお医者様の役割を担っているわけではありません。
それなのに、お医者様になったつもりで何かをアドバイスをしようとすることは、大きな問題を孕んでしまいます。
それが私たちがアドバイスをしない理由です。
団塊の世代が後期高齢者になっていく2025年をめどに日本はこれから間違いなく、医療制度が大きく変わっていきます。
この時に、代替療法 というものの在り方も大きく変わっていくでしょう。
じゃあ、どのように変わっていくべきなのでしょうか?
それは自分自身の健康について他人に依存することがなくなる方向に変わっていくべきだと私たちは考えます。
それは「人生の主人公」として、地球上を生きる全ての人が存在するべきだと考えるからです。
しかし、現在の医療の構造は「人生の主人公」として生きることをスローダウンさせてしまう傾向があるのも事実です。
かつての私たちもそうでしたが、今でも沢山の人が自分の体調が崩れた時にすぐに病院に駆け込んで、お医者様になんとか解決してもらおうとしています。
そして、お医者様に病名を与えてもらって、薬を処方されます。
しかも、きちんと飲むように諭されるわけです。
その結果として、自分に与えられた病名をずっと引きずる人が非常に多いのです。
場合によっては、
「お医者さんにこう言われたから、私はこの薬を一生飲み続けます」
「これはもう一生治らない病気だって言われてるんですよ」
ということを、平気でいう人がいるわけです。
これはおそらく、お医者様から言われた言葉ですらなくて、思い込みの領域かもしれません。
人間の脳は不可解なことが大嫌いですから、原因不明な痛みなんかよりも、病名をつけてくれた方が安心するのです。
そのため、病名を称号のように誇示するケースがよくあります。
病名というのは基本的には「今の時点では」というべきものなのに、それを一生ものの烙印にしてしまっては治るものも治らなくなるのではないかと思います。
ネガティブなアファーメーションが起きているわけですね。
これは何かというと、結局の所、「私は今の習慣を変えずに、今のままでいていいんだ」という過度な許しを自分に与えているのではないかと勘ぐってしまいます。
そのため、患者さんの多くは投薬の習慣だけ取り入れて、あとは何もせずに自分の体を他者に明け渡してしまうのです。
西洋医学の科学的な知見が問題というよりは、それを受ける側の患者に大きな問題があるとも言えるのです。
「体のことはあなたに任せたよ。もし、失敗したら訴えるからね~」なんていう姿勢の人をモンスター患者と呼ぶそうですが、こんな現場で働くお医者様は本当に大変だと思います。
「これから21世紀は代替医療が発展していくんだ!」と息巻いている療法家の中には、「将来的に代替医療が西洋医学にとって替わるんだ」と思っている人もいらっしゃるかもしれません。
しかし、西洋医学がこれまでやってきたように、自分の体に関心を払わない患者を増やしてしまっては全く意味がないのです。
つまり、診断をして、処方をしてという現状の医療行為の裏にある医師と患者の依存関係が、セラピーをして、それを受けてという療法家とクライアントの依存関係に変わることは何のパラダイムシフトでもないのです。
むしろ、エビデンスがない迷信がはびこる様々な代替医療が乱立する前時代に戻ったようなものだと思います(※)。
事実、多くの患者が代替医療に流れ込んできていると思いますが、それを商機と安直に考えるのは非常に危険なのです。
現状のまま行けば、自分の体に責任を持たないという姿勢がそっくりそのまま代替医療にも持ち込まれかねないと私たちは危惧しています。
「あなたは何もしなくてもいいんだよ~」
「あなたはそのままで幸せだよ~」
といって、クライアントの習慣を変えることを応援しないのは、誰かに依存する人を新しく産んでしまうだけなのです。
東洋医学であれ、代替医療であれ、アプローチの仕方が変わっただけで、その根っこの心と体と人間関係のパターン、つまり依存心が変わっていなければ、世界は変わりません。
今までの話をハーブヨガに置き換えてみれば、例えば、これまでは病院に行っていた人が今度はハーブヨガのサロンなどの代替医療のサロンに行って、先生に診断をしてもらい、そして、先生がこれをしたら治りますと答えを与えてしまうという場合に当てはまります。
これではお金を支払って誰かに依存していればいいというクライアントのスタンスは変わらないのです。
或いは、お金を払ってもらうために自分に依存してくれる人を際限なく生み出す、という姿勢を講師はずっと持っていなければいけないのです。
そして、こんな依存した両者の姿は、人生の主人公と呼べるようなものではありません。
私達のミッションは、「全ての人が人生を主人公として生きる」ことを応援するということです。
自分の人生を主人公として生きるというのは、自分自身が自分だけしか生きられない物語の主人公であるという認識の上で成り立っています。
その自分の物語を他人に委ねたり、決定づけさせたりするというのは主人公としてありえない姿なのです。
講師と生徒さんの間に依存を生ませないこと。
これが私たちは生徒さんに対して、アドバイスや解答を即座に与えることはしない理由の一つなのです。
※ 西洋医学はエビデンスベース、つまり実証研究を通じて世界中で知恵が共有されるため、汎用性をある程度は確保できます。しかし、代替療法の多くは患者の生き方のビジョンと大きく関係するものであるため、そのメソッドのもたらす知見の共有が非常に難しいという特徴があります。その結果、「あの人には効いたけれど、この人には逆効果」というようにバラツキがあったり、統計に基づいていないためメソッドの淘汰が行われにくく、玉石混交になりやいのです。
国際ハーブヨガ協会の公式アカウントです。宗冨美江(Fumie MUne)と宗健太郎(Kentaro Mune)による共同執筆の記事となります。
“お医者様とハーブヨガ指導者の決定的な違いとは?” への1件のフィードバック